THE☆SPIRALs――Part.9

〜台風10号到来!〜の巻




Y「って、私の記憶では、一年前も同じようなサブタイトルでザ☆スパが開かれたような
  気がするんですけど?」

N「ああ、確かにやってるな、「〜戦後最大級の台風到来〜の巻き」ってのを」

T「本当だな、百兎の奴、台風を面白がってんじゃないのかい?」

R「本当だよ、失礼しちゃうな〜!」

H「あれ? リオだって台風の日は良くはしゃいでなかったっけ?」

T「ああ、この子台風に吹き飛ばされたり、氾濫した川に流されかけたりしたんだよ。
  おかげですっかり台風嫌いになってさ」

H「リオは軽いからねぇ……」

R「カノン君、何か言った?」

H「リオ、目がすわってるよ……」

R「だって本気だもん」

H「え〜っと、浅月、後よろしく!!」

K「え? あ? 何だ何だ?!」

すかこーんっ(突風に飛ばされたゴミ箱が、香介の顔面に命中)

R「うわ〜、何もしてないのに勝手にやられちゃった。
  さすが香介君、間抜け眼鏡」

K「俺の眼鏡は呪われているのか?!」

T「イヤ、むしろ香介は存在自体があれだから」

K「あれってどれだ!」

A「騒がしいな、台風の日ぐらい家の中で大人しくできないのか?」

K「大人しく家の中でって、元はといえば台風の日にわざわざお前が招集かけたから、
  こうしてここに居るんだろ!」

A「至極当然のことをムキになって叫ぶな。
  俺が言っているのは、室内で騒ぐなと言うことだ」

Y「というかいつも招集されている場所って、室内だったんですか?
  派手な実験ばかりしていたので、てっきり屋外だと思っていたのですが」

A「今日は雨だからな、俺が滞在しているホテルのホールに集まっているという設定だ」

Y「成る程」

N「嘘臭い説明だな……。
  当事者のクセして、どうしてそんなに第三者的に話すんだ」

H「気にしない、気にしない。
  歩君、そんなにいちいち考えていると、将来ハゲるよ」

N「余計なお世話だ!」

H「その点、一番ハゲなさそうなのは香介だよね」

K「何でだ!」

T「何にも考えていないからだろう?」

K「失礼な!
  俺だってこれでも、悩みの一つや二つや三つや四つくらい、あるんだぞ!!」

R「香介君、そんなにムキになるほど将来ハゲたいの?」

K「違う!」

N「てか、俺がハゲるんだったら、まず兄貴にその予兆が現れるはずだろう?!」

Y「あ〜、確かにそうですよねぇ、鳴海さんは結構お兄さんの血を色濃く受け継いでいますし。
  そこら辺どうなのでしょうか、ブレード・チルドレンの皆さんお願いします」

R「清隆様の、髪……?」

T「おいおい、あいつは神にも等しき男なんだぞ?
  全てに置いて完璧であるはず……じゃあ……」

N「ちょっと待て、どうして口ごもるんだ?!
  疑わしいのか、兄貴は!!
  どうなんだ!!」

Y「鳴海さん、落ち着いてください!
  しかし、これはとんでもない大スクープの予兆ですね。
  “彼の天才ピアニスト、恐怖のハゲ疑惑”!
  新聞の一面に載ります!」

N「載らないだろ、しかもそんなくだらないスクープを作るな!」

K「まぁ待て、清隆はあくまでも天才なんだ!
  きっとハゲても、またフサフサの髪を取り戻せるはず!」

N「真顔でフサフサとか言われても説得力無い!
  フォローにもなってないし!」

H「わ〜い、もし本当だったら激写してやる〜♪」

N「そこ、やめぃ!」

A「ふむ、台風十号……今日の実験はこれで決まりだ!」

Z『台風のときどれだけヅラが飛ぶのか?!』

A「ハゲから離れろ貴様ら〜〜〜〜〜〜!!!!」

ピュンピュンピュンッ(アイズ、ナイフ乱れ撃ち)

K「うわ、わわ、とわっ!!
  何で、全部俺を目指して飛んでくるんだ?!」

A「アサヅキ」

K「な、なんだよ」

A「台風を追いかけてこい」

K「は?」

A「使って良い乗り物は自転車のみ!
  現在台風の速度は五十km/時間!
  能登半島の辺りにいるとか居ないとか!」

K「どっちだ!」

R「制限時間は明日まで、その次点で進行方向に向かって台風の目を追い越していたら
  香介君の勝ちだよ!
  もし無理だったら、奇跡の罰ゲーム♪」

K「奇跡ってなんだ!」

T「はい、一応雨合羽渡して置いてやるよ。
  あたしが幼稚園の頃使っていたツキノワグマ柄のピンクの雨合羽だ」

K「明らかに小さいぞ!
  しかも何でそんな微妙な柄なんだ!!」

Y「え〜、不正がないように、私の情報網がバッチリ見張ってますv」
  頑張って下さいね」

H「浅月、僕から冥土の土産にプレゼントをあげよう」

K「死なねぇよ、まだ!!」

H「デンキウナギの太朗ちゃんだ」

K「男なのか、女なのか?!」

N「カノン、確かに雨の中デンキウナギを浅月に持たせれば、感電すること請け合いだがな。
  ウナギが可愛そうだから戻してやれ」

H「そこまで言うなら、戻してあげるよ。
  ゴメンよ、太朗ちゃん」

A「さぁ、準備は整った、行って来い、アサヅキ」

K「俺に対しての情けはないのか?!」

A「ない。
  だから行って来い」

ポチッ(アイズがボタンを押すと、香介の足元の床が消える)

K「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」

Y「うわ、深いですね〜」

N「今度こそ生きて帰ってくるか解らないな、浅月」

A「あれ? 落とすところを間違えたな、これでは外に出られない。
  浅月、はい上がってこい」

K「無茶言うな〜〜!!」

T「ああ、あの根性無し、仕方がないね……。
  お、丁度晴れてきたじゃないか」

R「ホントだぁ、よかったぁ〜!」

H「じゃあ、キリが良いからこれで解散とするかい?」

A「そうだな。
  それでは、解散!」

Z『さよ〜なら〜!』

K「お〜い、待て〜、待てぇぇぇぇええええ!!」

(しばらく、浅月の絶叫だけ続き、みんなが帰っていく。
 誰もいなくなった頃、浅月の声も止んだ)




本日の実験・・・失敗。




K「畜生、俺はいつか旅に出てやる。
  絶対に出てやる!」






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